こども文化学科―学科理念― 沖縄大学は「地域に根ざし、地域に学び、地域と共に生きる、開かれた大学」という理念を掲げ教育活動を続けてきましたが、さらにその理念を「地域共創?未来共創の大学へ」と謳う沖縄大学憲章へと発展させています。そしてこの理念の実現への一端として、4年間を通して幅広い知識を涵養し、深い問題意識を有する小学校教員の養成を教育目標とする学科を設置することが、地域社会の教育ニーズに応えるものであると判断し、2007年に人文学部こども文化学科を設置しました。 本学科の教育研究上の第一の理念?目的は、小学校教育が抱える様々な問題を学問的に考察し、すぐれた小学校教員を養成することです。そしてこの教育目標を達成するためには、子どもをめぐる諸問題を多面的に考察し、実践的な諸課題の解決の方途を探ることが不可欠であり、それが本学科の第二の教育研究上の理念と目的となっています。 子どもをめぐる諸問題の多面的な考察が必要とされるのは、現代社会の急激な変化によってさまざまな影響がもたらされているからです。一例をあげれば、経済のグローバル化による産業構造の変化や、世界的にも突出して高い高齢化率、極度に低下を続けてきた出生率、コンピューター社会の一層の進展や通信手段の革新などがあり、それらは現代日本の社会?文化状況を激変させてきました。このような中で、子どもを取り巻く環境も当然ながら変化し、子どもの生活様式や行動様式も大きく変わってきました。今や小学校段階から始まる学級崩壊や、子どもが巻き込まれる犯罪の多発、いじめ問題、児童虐待などは、そうした変化の負の側面としてあげられるものです。沖縄では相互扶助的な精神や伝統文化が脈々と息づく中で子どもが育ち、その中で独特な文化を作り上げてもきました。しかし、学校や家庭、地域社会などの子どもを取り巻く環境の急激な変化は、沖縄であっても全国と軌を一にして起こっています。したがって、現代社会における地域の諸問題を、地域文化を深く理解しつつ、子どもに関する本質的問題を学問的に考究することは、喫緊の課題だといってよいでしょう。 以上の観点から、こども文化学科は、第一に児童教育学をその研究対象とし、またその研究をより豊かで実りあるものとするために、第二に「子ども学」とも言うべき、子どもの問題を多角的に考察する分野を研究対象としています。それらの研究?教育を通して、広く深い教養に裏打ちされ、子どもに関する心理?発達の問題、子どもを取り巻く社会の問題、子どもと文化の問題などに関する専門的知見を有し、さらに沖縄の文化や歴史などについての専門的理解のある人材を養成していくことをこども文化学科はめざしています。こども文化学科
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