「歴史を掘り起こし、残す一人という責任感が生まれた」 末吉未空氏をゲスト講師に招聘
7月29日、「ジャーナリズム論(若林千代教授)」の最終回のゲスト講師に沖縄タイムス社会部記者(気象担当)の末吉未空氏をお招きしました。末吉氏は2024年3月に国際コミュニケーション学科を卒業した本学出身者です。
ジャーナリズム論では、ジャーナリズムの歴史や仕組み?問題点を知り、情報発信の手法についての理解を深め、「地域に根差した報道とは?」「人々の声をどのように伝えるか?」など、沖縄タイムスの現役の記者の目を通してジャーナリズムの現場に触れ、地域ジャーナリズムの重要性を学ぶ内容となっています。
末吉氏は、学生時代の観光客ガイドの経験や沖大で受講したジャーナリズム論での学び、50年ほど前の新聞で当時の事を詳細に知ることができた面白さから、「沖縄の事を沖縄の人に伝えたい」「沖縄の歴史を残したい」という想いが芽生え、記者職を志すようになりました。入社3日目に気象台職員と名刺交換を行っている最中に津波警報が発令されて先輩記者と速報記事を必死に書いたことや、この経験からメディアの伝える情報が沖縄の人々の行動指針になっていて、正しい情報を正確に伝えることの重要性を入社後すぐに痛感したことなどお話しいただきました。
1975年にオープンした那覇市沖映通りの「みどり立体駐車場」が老朽化により閉鎖される「みどり立体駐車場、歴史に幕」の記事を書いた際には、何度も足を運んで関係者に話を聞いたとのことです。休日に実際に駐車場を利用して感じたことから深掘りするなど、じっくり時間をかけて取材したこと、この駐車場建て替えの取材を行う中で、同じ通りにある老舗の沖縄そば屋「むつみ橋かどや」が72年の歴史に幕を閉じる経緯を取材した「かどや閉店」の記事も生まれたことなど、古くなった駐車場建て替えの取材を通して当時の歴史や人々の想いに触れ、ニュースの背景にはいろいろなストーリーがあることが伝えられました。
講義の最後には、「ネットでわかることなんてほんの一部。取材するために地元沖縄の事を勉強する毎日。歴史を掘り起こし、残す一人という責任感を持って頑張っていきたい。浦添や那覇で幼少期から大学まで過ごしてきたが、沖縄はとても広い。皆さんには足元に目を向けつつ、沖縄の各地域に違いがあることに気付いてほしい。メディアの仕事では沖縄のことを勉強できる。沖縄のメディアにも興味を持ってほしい!」とのメッセージが送られました。